無料で自由に配布できたことから、二年足らずという短い期間に世界的な関心を呼ぶようになった。
世界中がネットワークで結ばれ、その上を自由にソフトウェアが運ばれていった象徴的な例といえよう。
このほか、インターネットに接続するために必要なソフトウェアが、すべてインターネット上にあるといっても過言ではない。
しかもフリーウェアとして。
パソコンのソフトウェアを、ほとんどネットワーク上で手に入れるという人もいるくらいだ。
日本でユーザーが非常に多い通信ソフトにダブルターム(WTERM)というソフトがある。
これもフリーウェアだ。
けっして市販のソフトに劣らぬ機能をもち、次々に改良が重ねられ、パソコン通信ネットワーク上で、このダブルタームについての情報交換もできる。
また、このソフトをさらに便利にするためのソフトが他の人によって開発されるというように、一つのソフトが多くの人々の手によって成長していくのだ。
しかし、フリーウェアは無料のソフトウェアだからといって、それを集めるだけの人は嫌われる。
使っての感想、改善した方がよいと思われる点、うまく動かなかった報告などの情報を開発者に返さないからだ。
これらの情報を開発した人が知ることによって、さらに改良が加えられ、そのソフトウェアはますます性能のよいものになっていく。
対価をお金で払わないだけで、それなりのお返しは必要なのだ。
こんなことに注意しながら、さまざまなソフトウェアを使ってみれば、ますますインターネットが楽しくなること請け合いである。
別項で詳しく説明するが、探しているソフトウェアの名称の一部をキーワードとして指定すると、その言葉を含むソフトウェアの一覧と所在場所が表示される。
そして、目指すソフトウェアの名称を指定するだけで、それをすぐに于に入れることができる。
正確な名称を知らなくても、また所在場所がわからなくても、確実に目的のソフトウェアを手にすることができるというわけだ。
さまざまなソフトウェアやゲームをインターネット上から探し、それを取り出し、使ってみる。
そうすれば、手元のパソコンはもっと便利な道具になるに違いない。
ただし、こういう利用の仕方ができるのは、パソコンでインターネットに接続している人だけ。
残念ながら、ワープロで接続している方は利用できない。
誰でも出版社や放送局がはじめられる インターネットによって、これから最も大きく変わろうとしているのは、出版の分野に違いない。
このところオンライン出版(ネット上での出版)が相次いでいる。
パソコン通信ネットのASAHIネットでは、「パスカル短編文学新人賞」が設けられており、パソコン通信上で公開の選考が行われ、新人賞が決められる。
もちろん、その作品は誰でもパソコンの画面で読むことができる。
この新人賞応募作のうち、新人賞受賞作をはじめ優れたものは、文庫本としても出版されている。
このほかに、九四年十一月から、㈱アスキーは、「オンラインノベル」と称して、人気SF作家の作品をI〇のパソコン通信ネットワークで提供している。
さらに、九四年十一月に出版された国際大学教授で同大学グローバルコミュニケーションセンター所長の公文俊平氏の著書『アメリカの情報革命』と同じ内容のものが、グロー『アメリカの情報革命』の目次。
オンラインで全文が読めるバルコミュニケーションセンターのコンピュータにあり、インターネットを使って誰でも自由に手に入れることができるようになっている。
このように、通信ネットワークを使って「書籍」が簡単に手に入る例は、枚挙にいとまがない。
これまでも、通信販売のように電子メールで注文して宅配便で書籍を届けてもらうというサービスはあった。
だが、このオンライン出版は、「書籍」そのものが、通信ネットワークで届いてしまう。
読みたいときにわざわざ出かけなくても、その本が手に入ってしまうのだから驚く。
二十四時間営業の書店が自宅にあるようなものだ。
でも、そこで手に入る書籍の種類はたかが知れているだろうと思ってはいけない。
例えば、インターネ。
卜上で行われているプロジェエクトに「グジョウアンベルクープロジェクト」というものがある。
イリノイ大学のマイケルハート教授の提唱によって始まったこのプロジェクトは、あらゆる書籍を電子化してしまおうという壮大な計画だ。
『イソップ物語』や『不思議の国のアリス』をけじめ、次々に電子化された書籍が増えている。
著作権がフリーになった古典が多いが、自著をこのプロジェクトに提供する著者もおり、新刊本でも電子化されることが多くなってきている。
利用するだけではなく、自著の提供や入力作業への協力などの形で、積極的に参加できるのがこのプロジェクトの特色でもある。
もちろん、グジョウアンベルクープロジェクトの書籍は英語で書かれている。
日本語の書籍についてもこのようなプロジェクトがあったらどんなに素晴らしいだろうと考える人も多いだろう。
実は、これほど有名なプロジェクトでないにしても、パソコン通信ネットワークで特定のテーマごとに開かれているフォ圭フムやシグと呼ばれる「電子会議室」では、そのテーマに関する資料を共同で電子化し、その「会議室」内に蓄えていることが多い。
これらの電子化された資料はかなりの数にのぼるので、これらの情報資源をもっとたくさんの人が活かせる日も近いに違いない。
本を読むという行為自体について、よくよく考えてみると、私たちは書籍というモノが必要なのではなく、そこに書かれている内容自体が欲しいのだ。
もちろん、美しい装頓を楽しんだり、本の感触を楽しむという要素も否定できない。
しかし、多くの人にとってはそこに何か書かれているかということが重要なのだ。
そうだとすれば、これを伝えるのにわざわざ書籍の形をとる必要はない。
モノとしての書籍を楽しみたい場合だけ、書店でそれを手に入れればいい。
そんな時代にさしかかっている。
ここで注目したいのは、このオンライン出版がきわめて低コストでできることだ。
出版物をつくり、それを全国の書店に並べるには、多額の資金と多くの手間が必要だ。
しかし、オンライン出版であれば、極端にいえば、ワープロ一台あれば簡単にできてしまう。
インターネットでは、映像も音声も文字も送ることができるから、文字と静止画像を中心としたオンライン出版にとどまらず、動画像や音声まで使って情報を提供することができる。
いま、テレビで行われていることがインターネット上でできるのだ。
巨大な設備や多額の資本を必要とせずに、個人でも出版ができたり、放送ができる時代になる。
インターネットが普及した時代はそんな時代だ。
どこでも仕事ができ、誰にでも起業のチャンスができる
電子ネットワークがひろがり、さらにそのネットワークが、他のネットワークとつながっていくことで、私たちの働き方はどう変わるのだろうか。
まず、最近注目されるようになってきたOA機器を使った在宅勤務をみてみよう。
在宅で仕事をする人々との間をパソコン通信でつなぎ、仕事の発注を行う会社がみられるようになってきた。
この分野の草分け的存在である㈱P&Sコミュニケーションズは、独自のパソコン通信ネットワーク「P&Sネット」を使って、仕事の発注から納品までを行っている。
約一五〇人をネットワーク社員として登録しているが、この「社員」たちは、会社のオフィスに出勤することなく、自宅の一室でワープロ入力などの仕事をし、完成したものを電話回線を使って送る。
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